仕事で信頼を得るためにも必要な「筋を通す」ということ

筋を通すこと=最善への誠意の継続

結論から言うと、筋を通すとは「その環境の中で決められた責任を、相手の状況や心理を汲み取ったうえで、双方の折り合いがつくよう、できる限りの努力と誠意をもって、その責任を最後まで全うすること」だと思います。

これを忠実に体現できている人が「筋の通った仕事をする人だ」という印象になります。そしてその人はさらに厚い信頼まで得ることができ、絶対的に支持される確率が圧倒的に高くなります。

筋を通している人は、その状況で最善とされる誠意の継続をし続けている、とワタシは思っています。

「筋が通っている」とは具体的には?

筋が通っているとは、「一貫性をもつこと」「軸をもつこと」「ブレないこと」などとされていますが、仕事においての「筋を通す」ということを深く理解しようと思ったとき、例えば会社として「商品に不具合があったとき」や「社員の不祥事があったとき」などを思い起こすと、なんとなく感覚が掴めるかもしれません。

ニュースなどで「え?そんな対応の仕方はないよね」とか「もっと状況を説明してくれないと納得できない」とか「わかりませんではなく何か1つでも対策はないの?」などといったマイナスの印象を抱いたり、逆に、心を打たれるような対応の仕方を目の当たりにして心が熱くなったりする…、その一連の言動こそが「筋を通すこと」そのものだと思います。その会社の振舞いで、その社員の振舞いで、その会社の「程度」がわかってしまい、魅力的な会社か、誠意もない口先だけの会社か、印象が分かれます。

例えば、2021年の東京オリンピック。開催の有無にあたって、国の誠意を感じた=筋が通った対応をした、と思った国民のほうが少ないのではないでしょうか。

あの時期は特にコロナ禍での開催が世界中から懸念されていたときでした。なので本来であれば、いつまでにどんな基準で開催を決定するのか、そのためにどんな対策をするのかを首相から国民に会見を開いて説明する、それが本来の筋であったと思います。

それなのに、開催の有無はうやむやのまま、観客の有無にいつの間にか問題がすり替わっていた。これは誠意がない=筋が通っていないと、それが不信感までに膨れ上がり、結果、菅政権の支持率(2021年8月)は政権発足後最低の3割を切ってしまいました。

そういった風に、普段ワタシたちのビジネスシーンにおいても、順序を守らないとか、本来やるべきことをやらないとか、問題をすり替えるなどといった対応をしていると信頼を失います。

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誰しも、会社の中で与えられた役目や責任があります。その役目や責任のもと仕事を全うするわけですが、全うすることはけっこう困難だったりします。なぜなら、必ずしも会社の方針が正しいというわけではないとき、そこで「会社の方針だから」と方針だけを突き通してしまうと、それを突き付けられた相手側(お客様・取引先)は押し付けられた印象しかならない可能性があるということです。

そんなとき大切なのは、相手の状況や心理を汲み取って、会社の方針を伝えつつも、兼ね合いをつけるようできる限りの努力をし続ける、もしくは精一杯の思いを伝え続ける、ということです。それが誠意として伝わるのだと思います。そうすると、筋を通す人だなという印象に繋がっていくように思います。

小さな仕事であっても、大きな仕事であっても、それを実践し続けることで、信頼が生まれ、人望が厚い人として一目置かれます。そして仕事でも「一流」と評価されます。

でも繰り返しますが、これは本当に難しいことだと思います。

なぜなら、まずは一般的に人として正しいとされる道理やルール・考え方を理解し、そのうえでそれらの理屈を体現しながら、会社(または自分)のポリシーばかりを押し付け過ぎないように、相手の状況や心理も汲みながら、最後まで責任をもって貫かなければならないのですから。

でもだからこそ、その難しい工程を丁寧に継続できることが「一流」とされるのでしょう。ここを目指して仕事に取り組んでいきたいものです。

そして。
最後に、どうやって取組んだらいいのか「実践するときのポイント」をお伝えしたいと思います。

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実践するときのポイント

では、実際にはどう取り組んでいけばいいのか?ワタシが心がけていることは1つ、寄り添おうとするひたむきさを大切にしています。仕事といっても、1つ1ついろんなケースがありますが、最初から「無理だから」「そもそも絶対なんてないから」などと匙を投げずに、そのケースで自分が最大限できることを探し、提案し、丁寧に向き合おうとする、この気持ちを大切にしています。

では、実際にどう行動すればいいのか?それは例えば、前述のニュースなどが良い例で、思ったことを次のように転換して考えてみます。

「え?そんな対応の仕方はないよね」→「じゃあ、どうされていたら納得できた?」
「もっと状況を説明してくれないと納得できない」→「じゃあ、どのタイミングでどう説明したらよかった?」
「わかりませんではなく何か1つでも対策はないの?」→「じゃあ、自分ならどんな対策を提案する?」

…といった風に日頃から考えるのは大変タメになります。

相手が欲しいと思うものを感じ取り、相手の求める完成度まで達したものを、相手の欲しいタイミングもしくは期限までに施し、相手を満足させることができる。

誠意が伝わるとは相手を満たすことだと思っています。

また、「礼儀正しくすること」=Think CIVILITY(シンク シビリティ)だという人気本がありますが、これも誠意の1つとしての表現となるお勧めの振舞いです。

筋を通すということが、どういうことか分からずにいると「何をもって筋が通っているか」ということを、どう体現したらいいのかわからないので、ニーズが読めないどころか、今自分はどういう立場で、どういうところに目線をおいて、どういう行動をとるのが最善か、それがわからない。それがわからないから、言葉を間違える、態度を間違える、方法を間違える、行動を間違える。そして、分かっていないことさえ、分からないから、なぜそんなに避難されなければいけないんだろうと対応していることがツラくなり、逃げたような態度をとってしまう…。そうすると、さらに信頼を失う。

このように考えてみると、ある意味「筋を通すということがどういうことか知らない」ということは社会生活の中では特に致命的かもしれません。

これは個人としての対応でも言えることで、何か重大な事象が発生した時にはその差は歴然となりますが、これは日々の仕事の中でも、一貫性をもって仕事に取り組むことが大切で、一貫性のある人というのは評価され、信頼を得ていく、といった結果になると考えます。

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